5-(17).浦嶋神社、籠神社の配置


 前5回に渡って浦島太郎について記述しましたが、浦島太郎にまつわる神社仏閣は全国各地に点在しています。

 そして、その中で、最も古い伝承である丹後国風土記のゆかりの地にあるのが浦嶋神社(別名:宇良神社)です。

 浦嶋神社は丹後半島の先端付近にある神社で、祭神はもちろん浦島太郎こと浦島子。玉手箱や浦嶋縁起絵巻を宝物として所蔵しています。
神社名 祭神 創祀 備考
浦嶋神社(宇良神社) 浦島子
配祀:月読神、祓戸大神
淳和天皇の天長2年(825)とされる  

 同じく、丹後半島には天橋立付近に丹後国一宮の(この)神社があります。

 (この)神社は天照大神が伊勢におさまる前に鎮座していた、いわゆる元伊勢の一つで、また、現在の伊勢神宮の外宮(げくう)に祀られている豊受(とようけの)大神は、元々、(この)神社に祀られていたものを遷座したものです。

 伊勢神宮との係わりの深さもさることながら、本殿の高欄上には「五色(青・黄・赤・白・黒)の座玉」という飾りがあり、これは、伊勢神宮正殿と当社にのみ許されているものだそうで、この神社の重要性を物語っていると言えるでしょう。
神社名 祭神 創祀 備考
(この)神社 彦火明(ひこほあかりの)(みこと)
配祀:豊受(とようけの)大神、天照大神、海神(わたつみのかみ)天水分(あめのみまくりの)
不詳  
 また、(この)神社の北東部には奥宮の真名井(まない)神社があります。

 真名井(まない)神社には磐座主座と磐座西座があり、西座の方は社殿はなく岩を祀るという古い形の信仰の形が見て取れます。

 さらに、磐座主座の祭神は豊受(とようけの)大神ですが、この神社では、その別名を天御中主(あめのみなかぬしの)神、及び、国常立(くにとこたちの)大神であるとしており、興味深いところです。(※本件については別途、記載する予定です)
神社名 祭神 創祀 備考
真名井(まない)神社 <磐座主座>
豊受(とようけの)大神(又の名を天御中主(あめのみなかぬしの)神、国常立(くにとこたちの)大神)
不詳  
<磐座西座>
天照大神、伊射奈岐(いざなぎの)大神、伊射奈美(いざなぎの)大神

 さて、浦嶋神社ですが、(この)神社とその奥宮の真名井(まない)神社の延長線上に配置されています。

 「(この)神社→真名井(まない)神社」の方位角(注)は19度17分。一方、「(この)神社→浦嶋神社」の方位角は18度49分です。
 19度と18度ですが、その差は28分。誤差の範囲内でしょう。

     (注)方位角・・・北を0度とした時の角度。東は90度、南は180度になる
出発点 到達点 方位角 距離
(この)神社 真名井(まない)神社 19°17′41.77″ 457.157(m)
真名井(まない)神社 浦嶋神社 18°49′07.30 16,672.814(m)
(この)神社 浦嶋神社 18°49′49.66″ 17,129.955(m)
※緯度経度の算出は、「MAPPLE 地図」を使用
※方位角と距離は、「測量計算(距離と方位角の計算)」のPGMを使用

<参考:各神社の緯度経度>
神社名 北緯 東経 備考
(この)神社 北緯35度34分47秒 東経135度11分58秒  
真名井(まない)神社 北緯35度35分1秒 東経135度12分4秒  
浦嶋神社 北緯35度43分33秒 東経135度15分38秒  
 浦嶋神社は、亀に乗って竜宮に行った浦島太郎を祀った神社。一方、(この)神社には、宮司である海部氏の四代目の祖の倭宿禰(やまとのすくね)(みこと)が神武天皇の東征の際、明石海峡で亀に乗って現れて先導したとする伝承が残っており、境内には亀に乗った倭宿禰(やまとのすくね)(みこと)の像があります。

 亀つながりと言ったところでしょうか。

 なお、籠(カゴ)は竹かごのことだとすると、その網目に六芒星が無数に現れますし、亀の甲羅は亀甲紋と言われ、六芒星の頂点を結んだ形です。(この)神社の裏家紋が六芒星だという話もありますし、丹後の地はイスラエルの失われた十部族が最初に日本に住み着き、神ヤハウェの祭祀を開始した場所かも知れません。

    ※籠目
   


 また、浦嶋神社は伊勢神宮の別宮である伊雑(いざわの)宮と内宮(ないくう)を結んだラインの延長線上に配置されています。

 「伊雑(いざわの)宮→伊勢神宮(内宮(ないくう))」と「伊雑(いざわの)宮→浦嶋神社」の方位角は共に317度です。
出発点 到達点 方位角 距離
伊雑宮 皇大神宮(内宮) 317°16′38.86″ 11,287.143(m)
伊雑宮 浦嶋神社 317°02′20.79″ 205,970.586(m)
<参考:各神社の緯度経度>
神社名 北緯 東経 備考
伊雑宮 北緯34度22分37秒 東経136度48分43秒  
伊勢神宮(内宮) 北緯34度27分6秒 東経136度43分43秒  
 浦嶋神社が象徴する動物は亀。一方、伊雑(いざわの)宮には「鶴の穂落し」という霊異譚が伝わっており、それによると、皇大神宮の鎮座の翌年、稲を白い真鶴が咥えて鳴いており、倭姫(やまとひめの)(みこと)は、鳥さえも田を作り皇大神に奉ると感激して、そこに造ったのが伊雑(いざわの)宮だそうです。

 一方が亀で、他方が鶴。共に長寿の生き物とされる目出度い動物で、ラインの両端で対応関係にあると言えるでしょう。

     

 また、(この)神社に祀られていた豊受(とようけの)大神は、昔話の「天の羽衣」の天女ともされる神ですが、その天女を祀る神社に 奈具(なぐ)神社があります。

 奈具(なぐ)神社は丹後地方に2か所あり、一方は、丹後半島の京丹後市にあり、もう一方は宮津市由良にあります。

 そして、これら2つの奈具(なぐ)神社を結んだライン上に真名井(まない)神社が位置しています。
出発点 到達点 方位角 距離
奈具(なぐ)神社(由良) 真名井(まない)神社 318°02′42.93″ 9,866.577(m)
奈具(なぐ)神社(由良) 奈具(なぐ)神社(京丹後) 317°35′11.89″ 22,559.588(m)
真名井(まない)神社 奈具(なぐ)神社(京丹後) 317°11′16.23″ 12,693.572(m)
※一つだけ318度になっています。真名井神社のどこを中心とするかで座標も微妙に変わってきますし、真名井神社の座標として使用しているものが正確でないのかも知れません。(真名井神社が2つの奈具神社のライン上から微妙に外れている可能性もありますが)
<参考:各神社の緯度経度>
神社名 北緯 東経 備考
奈具(なぐ)神社(京丹後) 北緯35度40分3秒 東経135度6分21秒  
奈具(なぐ)神社(由良) 北緯35度31分3秒 東経135度16分26秒  
 そして、2つの奈具(なぐ)神社を結ぶ方位角317度は、浦嶋神社と伊雑(いざわの)宮を結ぶ方位角と同じ、つまり、平行となっています。

 二つの奈具(なぐ)神社は、「浦嶋神社→伊雑(いざわの)宮」ラインを示唆する為に設置されたのかも知れません。



 以上、浦嶋神社の配置について現在、判明しているのは上の通りです。

 この配置だけ見ると(この)神社よりも浦嶋神社の方が重要な神社であるように見えるかも知れませんが、実は、(この)神社にはそれ以上の秘密が隠されています。

 伊勢神宮の別宮で、かつ、離れた場所にある為に(とおの)宮と呼ばれる神社は、伊雑(いざわの)宮ともう一つ、瀧原(たきはらの)宮があります。

 この瀧原(たきはらの)宮と(この)神社を結んだ方位角が320度なのです。
出発点 到達点 方位角 距離
瀧原(たきはらの) (この)神社 320°36′58.44″ 175,515.189(m)
<参考:各神社の緯度経度>
神社名 北緯 東経 備考
瀧原(たきはらの) 北緯34度21分47秒 東経136度25分41秒  
     

 方位角320度と言えば、伊雑(いざわの)宮→伊勢神宮(外宮(げくう))」の方位角と一致しています。(※「5-(6).伊勢神宮の配置の秘密(3番目の伊勢神宮)」参照)


 次の記事では、「瀧原(たきはらの)宮→(この)神社」が何故、方位角320度となっているのか、その秘密に迫ってみたいと思います。






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