この時、阿遅志貴高日子根神が訪れて天若日子の喪を弔っている時、天より降ってきた天若日子の父と、また、その妻がみんなで泣いて、「我が子が死なずに生きていた。我が君は死なずに生きておられた。」と言って、手足にすがって泣き悲しんだ。その間違った理由は、この二柱の神の容姿がとてもよく似ていたからである。
このようなわけで、阿遅志貴高日子根神が大いに怒って言った。「私は愛しき友であればこそ弔いに来たのだ。どうして、私を穢れた死人に擬えるのか。」と言って、帯びていた十掬剣を抜いて、その喪屋を切り伏せ、足で蹴り飛ばした。
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